輸入依存体質で未曾有の円安に苦しむ中、新店の出店加速に活路
ワークマン既存店419店(WORKMAN Pro店10店舗を含む)とWORKMAN Plus541店、さらに話題の「#ワークマン女子」43店の計1003店を展開する株式会社ワークマン(本社:群馬県伊勢崎市、代表取締役社長:小濱英之)は2025年3月期の社員とパート社員の賃金を平均5.1%引き上げる決定をいたしました。業績的には3%の賃上げが妥当ではないかとの社内議論がありました。ただ、小売企業として賃上げによる消費の好循環への期待感もあり、円安直撃企業として苦しい中で模範を示すべく「背伸び」をして5.1%にしました。
2%の賃上げ上乗せの背景は次世代の主力店である「#ワークマン女子」の路面出店が活性化していることです。助走期間を抜け出し、次の成長への活路が開けそうなためです。女子店は未知の業界のため慎重に出店を進めてきましたが、漸く本命の路面店の大量出店の目途が付き始めました。
詳しくは、後日「#ワークマン女子の出店計画」のリリースをかける予定ですが、傾向としましては:
① 広告塔としての大型ショッピングモール内の女子店は沖縄/九州から北海道までの出店が決まった。
地域を代表する大型モールに広告塔=旗艦店があると、地域の路面女子店が集客しやすくなる
②主力の路面女子店はショッピングセンター内の敷地を貸して貰うスーパーとの商談が急増している。
女子店の敷地内進出後に売上が3割伸びたスーパーもあり、業界での評価が一挙に高まったため(従来はクリーニング、百均、ドラッグなどに出店の要請をしていたが、女子店も選択肢に入った)
ショッピングセンター敷地内の出店は許認可があり契約後出店までに1〜2年の時間がかかる
女子店の専売製品が増えたため出店がしやすくなった(既存店への負の影響が緩和された)
③許認可が不要ですぐに出店できる本命の「単独路面店」の案件も増加している
女性向け製品の実力が高まり、条件が多少劣る立地でも単独路面店の出店が可能になった
当社のお客様はインフレに強い資産を持たずに給与所得だけに依存している方が多く、歴史的な円安による物価高の直撃を受けています。個人資産保有者や輸出や海外進出企業の社員が高額消費に向かっているのとは逆の現象です。当社のお客様は価格にこだわる方が多いため、値上げが通りにくい体質があります。リーマンショック後の円安で値上げをした時には、買い控えが起きました。
ただ、1ドルが150円レベルの極端な円安になると、当社もPB製品の「価格維持宣言」の全面継続が困難になってきました。現在の150円レベルの円安が続くとの見通しのもと、赤字になるPB製品から改廃と価格改定に着手します。少数の赤字PB通年品は7月から価格を改定します。季節品は来年の春夏物は価格を据え置きますが、来年の秋冬物から一部の製品の改廃を行います。機能と価格のバランスを取るため、改廃には少し時間をかけます。なお、改廃と価格改定は行っても業界最安値は死守します。
今回の5.1%の賃上げには社員の「生活防衛」の意味があります。当社は円安による逆風の中にいるため、最近のインフレ率である3%をカバーすればいいとの意見もありました。ただ、政府統計のインフレ率には値上げが著しい生鮮食品が入っていないため、社員の生活をインフレから守るためには5%以上の賃上げが必要との結論になりました。
食品/外食/ガソリンなどの物価は円安後に2〜3割は上がっており、今回の5.1%の賃上げでも物価高騰分を補填できないのではとの感覚があります。円安による物価高の真因であるマイナス金利の早期解除なしには、物価に対する賃上げが追いつかないのではとの危惧を抱いています。 以上
<ワークマンの概要>
社名:株式会社ワークマン
住所:東京本部:東京都台東区東上野4-8-1/関東信越本部:群馬県伊勢崎市柴町1732
業種:フランチャイズシステムで、作業服、作業用品およびアウトドア・スポーツウエアを販売する専門店チェーン
店舗数:1003店舗(2023年10月31日現在)/業態別:ワークマン419店舗、WORKMAN Plus541店舗、#ワークマン女子43店舗
上場:東証スタンダード市場(7564)