GPSログからコースタイムを『標準化』ビッグデータ分析と運動生理学の知見に基づく計算手法を提案
登山地図GPSアプリ「YAMAP」を運営する株式会社ヤマップ(福岡市、代表取締役CEO 春山慶彦、以下ヤマップ)は、登山の運動生理学の第一人者、山本正嘉教授と共同で研究をおこない、ビッグデータ分析と運動生理学の知見に基づく「登山者のGPSログから『標準化』したコースタイム」を、正式にYAMAPに採用・全面的に実装しました。
背景
山を歩く方、特に初心者や体力に不安のある方にとって、目的地到着までにかかる時間は、欠かせない基礎情報です。
しかし、コースタイムを決めるための統一された基準や、客観的に評価する指標は無く、これまでの(ガイドブック等における)コースタイムは、すべて先行者(執筆者等)の経験や主観によって定められてきました。
情報の信頼性を科学的に担保し、生じてきたバラつきを低減させるアプローチは「余裕のある計画を立てたつもりが予定通りに進まない」「想定よりも速いペースで歩いてしまい疲労がたまってしまった」といった、計画と実態の乖離を回避することに繋がります。
本研究では、YAMAPユーザーのGPSログ約80万件を分析し、地形(斜度)からコースタイムを標準化する計算手法を開発。既存のガイドブック等に記載されたコースタイム(運動生理学の観点から安全圏内と判断できた値)ともよく一致し、高い妥当性を評価できたこの計算手法は、日本登山医学会発行の学術誌『登山医学 Vol.42』に研究論文として掲載されました。
論文名:大規模GPSログデータに基づく一般的な登山道における標準コースタイム計算手法の提案
著者:斎藤大助※1,松本英高※1,山本正嘉※2
掲載誌:登山医学 Vol.42:37-47, 2022
URL:https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202302250354787078
※1 ヤマップ データ分析チーム
※2 鹿屋体育大学 スポーツ生命科学系
「標準コースタイム」研究手順・計算手法
「標準コースタイム」計算式
計算式は、運動生理学の観点から、初心者や体力に自信のない人が無理なく安全に歩くことができるペース(最大登高速度350 m/h、6メッツ台)に対応しています。「標準コースタイム」に沿って歩くよう心がけることで、自然に無理のないペース配分を身につけることが可能になります。
山を歩く方に信頼性の高い情報を提供する助けとなり、これまでのコースタイムを見直す指標にもなる「標準コースタイム」の計算手法を広く提案し、登山者がより安全・快適に山を歩くことができるよう、今後もさらなる支援内容の充実と研究開発に取り組んでまいります。
【コースタイムの科学】皆さんの歩いた軌跡から、コースタイムの「ものさし」を創りました
URL:https://note.yamap.com/n/n68295f78a326
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YAMAPについて
電波が届かない山の中でも、スマートフォンのGPSで現在地と登山ルートがわかる、登山を楽しく安全にするアプリ。山行の軌跡や写真を活動記録として残したり、山の情報収集に活用したり、全国の登山好きと交流したりすることもできる、日本最大の登山・アウトドアプラットフォームです。(2021年8月 登山アプリ利用者数調査 [App Ape調べ])
2023年8月に累計390万ダウンロードを突破。
株式会社ヤマップ 会社概要
会社名 株式会社ヤマップ
本社所在地 福岡市博多区博多駅前3-23-20 博多AGビル6F
資本金(資本準備金含む) 1億円
事業概要
1. 登山・アウトドア向け WEB サービス・スマートフォンアプリ「YAMAP」の運営
2. 登山・アウトドア用品のセレクトオンラインストア「YAMAP STORE」の運営
3. これからの登山文化をつくるメディア「YAMAP MAGAZINE」の運営
4. ガイドと登山者をつなぐ山旅のプラットフォーム「YAMAP TRAVEL」の運営
5. 自然特化型クラウンドファンディング「YAMAP FUNDING」の運営
6. 山・自然を活用したコンテンツ開発・コンサルティング・プロモーション 等